1 はじめに
独立系FPのA山さんは、事業継承プランの相談を受けているB谷さんから、ある日こんな電話をもらいました。
「いつもお世話になっていて、こんなことを尋ねるのは失礼かもしれませんが、
お宅の個人情報管理について説明していただけないでしょうか?」
A山さんは思いがけない質問に、ちょっととまどいました。
「あの・・何か問題がございましたか?」
「いえ、そういうわけではなくて、最近色々話題になりますので、ちょっと気になっただけなんですよ。」
どうやらトラブルではなさそうです。A山さんは少しホッとしながら、
「そうですか、私どもの事務所では・・・」
と、個人情報の管理について慎重に説明しました。A山さんの答えをきいてB谷さんも安心したようで、何事もなく電話をきりました。
しかし・・・
A山さんは考え込んでしまいました。個人情報保護法については雑誌や新聞などで読んではいましたが、自分の仕事に関して特に対応が必要だとは思っていなかったのです。
もし、個人情報の利用目的や保護ポリシーの提示を求められていたら、果たして適切に対処できただろうか・・・?
A山さんの胸に一抹の不安がよぎりました。
読者の皆様の中にも、A山さんと同じような経験をお持ちの方がおられることでしょう。 個人情報保護法は、決して複雑な法律ではなく、むしろ当然のことを規定しているといってもよいものです。 しかし、巷には過剰な反応や極端な解釈も多々見受けられ、混乱させられる状況があるのも事実です。 そこでこの連載では、個人情報保護法のポイントを正しく理解していただけるよう、 FPの業務に即した形での解説を掲載してまいります。
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