@ 個人情報
「個人情報」とは、「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、
それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいいます(第2条)。つまり、(1)存命の、(2)個人に関する情報で(3)個人識別性を有する情報が個人情報となるのです
(情報の内容の重要性等は関係ありません。)。
まず、死者の情報がはずされたのは、この法律が情報に関する本人の様々な関与を認めているため、存命の個人の情報に限定されたためです。しかし、死者の情報といえども重要な情報であることには違いはありません。
これは充分尊重すべきでしょうし(プライバシーの議論)、場合によっては生存者との関係で個人情報となりうる可能性もありうるので気を付けましょう
(死者の遺伝子情報が生存者の子を識別する情報となりうる。)。依頼者が死亡したからといって、急にその取扱いを変えない方が賢明です。
次に、個人に関する情報が対象であって、法人に関する情報や社会的・科学的情報なども対象ではありません。如何に有用な財産評価情報や過去の取引事例を保有していても、これは個人情報とはならないのです。
しかしながら、個人事業主の事業に関する情報は個人情報となりますので、この点は注意しましょう。
最後に、個人の識別性が問題となります。識別性がなければそれはただの情報であり、厳格に律する必要はありません。個人へと還元されていく可能性があるからこそ問題となるのです。
ここで、どの程度の内容があれば識別性があるか、というのは難しい問題ですが、氏名等強度の識別性があるものだけでなく、地域、肩書、職種等複合すると特定できるケース、
連結可能匿名化で連結が容易な場合のように他の情報との照合で識別性が出てくるケースなどもあります。実際に仕事上取り扱う情報の内容を見て、「この範囲では識別性が出てくる」、など具体的に判断せざるを得ないでしょう。
A 個人データ
「個人情報」が集積され、かつ検索が可能なデータベース等は、取り扱いも簡単な反面、
不適切な取扱による不利益も極めて大きなものとなります。したがって、このような「個人情報データベース等」は、
より慎重に取り扱われることが要請されます。
個人情報データベース等は、コンピュータ検索が可能なようないわゆるデータベース(第2条第1項)と、
紙ベースであっても検索が容易な特別な集積情報(第2条第2項。氏名で整理されている住所録等。)の双方を含むこととなります。
そして、このような個人情報データベース等を構成する個人情報を「個人データ」というのです。
「個人データ」は、コンピュータ社会における重要性に鑑み、
第19条から第23条に定められるような安全管理措置等の適切な処理が求められることとなります。
B 保有個人データ
以上のように「個人データ」は重要なものですが、
これが更に長期に業者が利用するものである場合にはより適切な取扱いが必要となります。
このように個人データのうち、
(1)個人事業取扱事業者が開示、訂正、追加または削除、利用の停止等を行うことのできる権原を有しているもの、
かつ一定期間以上の利用が予定されているものを「保有個人データ」として(第2条第5項)、
更なる法的な義務を課すこととしています。
FPの立場からは、個人データの開示・訂正権原は肯定される可能性が高いため(受託者である場合を除く。)、
個人データの保有期間を短期(6ヶ月以内。施行令第4条)にすることで、保有個人データとしての義務を免れることが可能となります。
この点の実務の運用も検討に値するでしょう。
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